僕の父は不倫していた ②

ナルミは、癖の無い長い黒髪の女の子だった。目がはっきりしていて、でも派手にならない顔立ちだった。屈託の無い笑顔を持っている反面、佇まいは何処と無く寂しげで、他人には触れられない何かを感じた。そんな、ほの暗い感情を、誰かに救ってほしい訳ではないことが少しずつ分かった。

ナルミには、何かを解決することや、相手の感情を埋めることが愛ではないと言われているような気がした。